2004
01.10

「桑原組」幹部ら2容疑者を逮捕

事件・事故

桑原組の闇に迫る:建設業界を揺るがす事件

滋賀県の建設業界最大手である総合建設会社「桑原組」が、再び注目を集めることとなった。安曇川町に本社を構えるこの建設企業は、県内での公共工事の受注実績が多く、地域においては確かな存在感を示してきた。しかし、2024年1月8日、滋賀県警暴力団対策課などが「桑原組」の幹部社員2名を有印私文書偽造および行使の疑いで逮捕するという衝撃的なニュースが報じられた。

滋賀県の建設業界最大手で総合建設会社「桑原組」(安曇川町西万木)の幹部社員らが確定申告の際に書類を偽造し、銀行残高を10億円以上少なくしたとして、滋賀県警暴対課などは8日、有印私文書偽造・行使の疑いで、経理部長の清水利之容疑者(46)=安曇川町田中=と、経理課主任の吉川祐二容疑者(29)=同町北船木=を逮捕した。(当時の新聞記事より)

逮捕されたのは経理部長の清水利之容疑者(46歳、安曇川町田中)と経理課主任の吉川祐二容疑者(29歳、同町北船木)である。2人は確定申告時に提出する書類を偽造し、銀行残高を実際より10億円以上少なく見せかけていたという。この事件が浮上した背景には、資金の不透明な管理と、指定暴力団への関与が影を落としている。

不正な資金提供と指定暴力団との関係

この逮捕に先立つ2004年11月、桑原組は不正な資金提供を調査する滋賀県警の家宅捜索を受けていた。その際、押収された書類により、確定申告の添付書類が偽造されていた疑いが発覚した。さらに、大阪国税局の税務調査により、桑原組が約8,000万円の所得隠しを行っていたことが2004年1月19日に明らかになっている。この所得隠しの一部は、指定暴力団山口組系組長への貸付金という形で提供されていたが、返済期日が設定されていなかったため、大阪国税局はこれを寄付金と見なし、仮装および隠蔽行為として所得隠しを認定した。

大阪国税 8000万円所得隠し指摘

滋賀県豊郷町の町立豊郷小学校の新校舎建設工事を請け負っている「桑原組」(同県安曇川町)が平成十二年に大阪国税局の税務調査を受け、約八千万円の所得隠しを指摘されていたことが十九日、分かった。約八千万円は指定暴力団山口組系組長に課税対象とならない貸付金として提供されていたが、返済期日がないことから、国税局は寄付金と認定、仮装、隠蔽(いんぺい)を伴う所得隠しと判断した。

同社はほかにも取引先に対する貸し倒れ引当金の経理処理をめぐるミスなど、約一億五千万円の申告漏れも指摘された。すでに修正申告に応じている。

資金提供を受けたのは、指定暴力団会津小鉄会の故高山登久太郎元会長の長男で、草津市長選に絡む公選法違反(特定寄付の禁止)容疑で逮捕、公選法違反罪で起訴された山口組系組長の高山義友希被告(四七)。

高山組長は資金提供当時は暴力団組長ではなかったが、自身が役員をしていた建設会社が滋賀県警に暴力団系企業と認定されていた。

桑原組は昨年十一月、不正な資金提供を調べていた滋賀県警の家宅捜索を受けた際、押収書類から、確定申告の添付書類が偽造されていた疑いも浮上し、元経理担当役員らが有印私文書偽造、同行使容疑で逮捕されている。(当時の新聞記事より)

また、貸倒引当金の経理処理においても約1億5千万円の申告漏れが指摘されており、同社はすでに修正申告に応じている。これに加え、指定暴力団会津小鉄会の故高山登久太郎元会長の長男であり、草津市長選に関連して公職選挙法違反(特定寄付の禁止)で逮捕された山口組系組長・高山義友希被告(47歳)にも資金提供が行われていたことが発覚した。

高山組長は資金提供を受けた当時、暴力団組長としては正式に認定されていなかったが、滋賀県警は彼が役員を務める建設会社を暴力団系企業と認定していた。この事実が発覚したことにより、桑原組と暴力団とのつながりがますます深く疑われることとなった。

地元の反応と「寛大な処置」を求める動き

地元自治体である安曇川町と新旭町は、桑原組が地域経済において果たしてきた役割の重要性を鑑み、桑原組および関与社員に対して「寛大な処置」を求める陳情書を公印で提出した。このような対応は、一部からは桑原組の地元での影響力の大きさを象徴するものだと批判されている。桑原組は、地元の公共工事を数多く手掛け、地域経済の柱としての役割を担っていたが、それが今回の事件によって大きく揺らぐこととなった。

事件が問いかけるもの

桑原組の事件は、滋賀県のみならず、日本全国の建設業界に対して多くの問題提起を行っている。まず、建設業界の透明性とコンプライアンス遵守の重要性である。特に地方においては、企業と自治体、そして公共事業とのつながりが強く、それが時に不正行為や違法行為に結びつくことがある。この事件は、そのような問題がどれほど地域社会に深刻な影響を与えるかを如実に示している。

また、暴力団との関係性についても改めて問われるべきである。桑原組のような大手建設会社であっても、資金提供や業務提携を通じて暴力団とのつながりが持たれている可能性があることが、今回の事件で明らかになった。これは建設業界全体における構造的な課題であり、今後、さらに厳格なチェック体制が求められるだろう。

桑原組のプロフィールと変遷

時期出来事・変遷
1960年代創業。地元の小規模な建設プロジェクトからスタート。
1970年代県内の大規模インフラ整備に関与し、急成長を遂げる。
1990年代公共施設や学校の建設を多数請け負い、滋賀県内での地位を確立。
2000年代前半競争激化と不況の影響を受け、経営の困難さが増し始める。
2004年以降暴力団との関係や不正な経理処理の問題が浮上。信頼が揺らぐ。
組織改革を行い、ガバナンス強化を図る。県外の公共事業にも進出。
環境に配慮した建設プロジェクトに注力し、再生可能エネルギー関連のプロジェクトも手掛けるようになる。信頼回復と企業の成長を目指して地域社会との協力を強化。

桑原組の詳細な情報については、公式ホームページ https://kuwahara-group.com からもご確認いただけます。

まとめ

「桑原組」幹部の逮捕を契機に、滋賀県の建設業界におけるコンプライアンスと透明性が厳しく問われている。確定申告書類の偽造、所得隠し、暴力団との関与といった一連の不祥事は、桑原組が地域社会に果たしてきた役割を考えると、非常に重いものである。地元自治体からの「寛大な処置」を求める声がある一方で、企業の不正を見過ごしてはならないという意見も強まっている。

今回の事件を通じて、建設業界全体が襟を正し、地域と真に信頼関係を築くための取り組みが求められている。桑原組の今後の対応と、それに対する社会の評価がどのように変わっていくのか、引き続き注目していきたい。

コメント

    • mama
    • 2004年 1月 12日 11:08pm

    今朝、この新聞に続きがありました。
    旦那と二人でまじまじ読みました。
    金額の大きさにびっくりですよね。。
    有名ですから・・地元では。( ̄▽ ̄) ニヤ

    • りんもん
    • 2004年 1月 13日 12:57am

    コメント、ありがとうございました。
    え?続きがもう書かれているんですか。
    それに「地元」?地元なの?意味深~。
    調べてみようっと。

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