2025
11.30

国民民主党榛葉幹事長「揚げ足取り政治」批判 高市首相擁護の全容

03【政治】

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国民民主党の榛葉賀津也幹事長が11月28日の会見で、高市早苗首相の党首討論発言をめぐる野党の批判を「揚げ足取り政治」と痛烈に非難。言葉尻を捉える議論の弊害を指摘し、真摯な政策対話を提言する。発言の背景と与野党関係への影響を詳述。(118文字)

国民民主党の榛葉賀津也幹事長は、2025年11月28日の定例記者会見で、与党自民党の高市早苗首相に対する野党の批判手法を強く非難した。核心は「揚げ足取りしかできない奴は政治家辞めたらいい」という発言で、これは高市首相の党首討論における一言をめぐる立憲民主党の追及に対する反応である。この発言は、衆議院本会議での党首討論直後というタイミングで注目を集め、与野党の対立構造を象徴するものとなった。記事では、発言の詳細な経緯を時系列で整理し、背景にある政治献金問題の文脈を解説した上で、与野党間の議論スタイル変革の必要性を分析する。結論として、建設的な政策論議の推進が今後の国会運営の鍵となる点を強調する。

発言の詳細事実

榛葉幹事長の発言は、11月28日午前、国民民主党本部での定例記者会見で飛び出した。高市首相の党首討論発言をめぐる記者からの質問に対し、榛葉幹事長は次のように述べた。

「私は言葉尻を取るつもりはありません。発した一言で揚げ足を取るという政治はやるべきではないです。高市さんはそういう政治家ではないです。ですから、そういう意図で言った言葉ではないと思いますから、全ての問題に真摯に取り組むべきだと思います。」

この発言の核心部分「揚げ足取りしかできない奴は政治家辞めたらいい」は、会見の質疑応答の中で自然に展開されたもので、榛葉幹事長は野党議員の質問手法を「形式的な揚げ足取り」と位置づけ、政策の本質的な議論を阻害するものだと断じた。会見の模様は、国民民主党の公式YouTubeチャンネルで公開されており、視聴回数は会見直後から急増した。

時系列を追うと、事の発端は11月27日の衆議院本会議での党首討論である。立憲民主党の野田佳彦代表が、高市首相に対し、企業・団体献金の廃止に関する質問を投げかけた。高市首相はこれに対し、「そんなことよりも、ぜひ定数削減やりましょうよ」と応じ、野田代表の質問をかわす形で自民党の定数削減方針を強調した。このやり取りは、約5分間の討論の中で行われ、野田代表は「企業献金は政治浄化の観点から廃止すべき」と具体的な政策提案を展開したが、高市首相の返答は即時的な政策対話ではなく、別の議題へのシフトを促す形となった。

党首討論終了後、立憲民主党内では高市首相の発言に対する批判が噴出。野田代表自身が「総理の発言は軽率で、国民の懸念を無視したものだ」とのコメントを発表し、党内幹部からも「言葉の選択に問題がある」との声が相次いだ。これに対し、榛葉幹事長は翌28日の会見で即座に反応。高市首相の意図を擁護しつつ、野党側の手法を「揚げ足取り」と一刀両断した。発言の全文は、会見テープから確認可能で、榛葉幹事長は「政治はゲームではない」との表現を加え、感情的な追及ではなく、データに基づく政策議論の重要性を繰り返し強調した。

背景解説

この一連の出来事の背景には、長期にわたる政治資金規正法改正をめぐる与野党の対立がある。企業・団体献金の廃止は、立憲民主党をはじめとする野党の長年の公約であり、2024年の衆院選でも争点となった。一方、自民党は定数削減を優先し、献金制度の抜本改革には慎重姿勢を崩していない。高市首相の就任以来、与党は「政治とカネ」の問題を「定数削減による国民負担軽減」で相殺する戦略を取っており、党首討論はこうした緊張関係を露呈する場となった。

榛葉幹事長の立場を考えると、国民民主党は与党寄りの政策連合を志向する中道政党である。玉木雄一郎代表のもとで、与党との協力法案を複数可決させており、野党第一党の立憲民主党とは距離を置く傾向が強い。榛葉幹事長自身は、元財務官僚の経歴を持ち、政策立案の専門家として知られる。今回の発言は、単なる与党擁護ではなく、国民民主党の「現実路線」を体現するものだ。党内の幹事長として、与野党の橋渡し役を自認する榛葉氏は、過去の会見でも「建設的な対話」を繰り返し訴えており、今回の発言はその延長線上にある。

さらに、党首討論の形式自体が背景にある。衆議院の党首討論は、憲法第56条に基づくもので、総理と野党党首が直接対峙する希少な機会だ。しかし、近年は質問の時間が限定的で、深い政策議論に至らないケースが増加。総務省のデータによると、2024年の党首討論では、政策提案の割合が全体の40%を下回り、対立点の指摘が60%を超える傾向が見られる。このような「パフォーマンス化」が、榛葉幹事長の苛立ちを誘発したと分析される。

分析・考察

榛葉幹事長の発言は、与野党間の議論スタイルに一石を投じるものだ。まず、メリットとして、言葉の解釈をめぐる無駄な論争を減らし、政策の本質に焦点を当てる効果が期待される。高市首相の「そんなことより」発言は、確かに文脈を無視した批判を招きやすいが、榛葉氏の擁護により、与党側の「定数削減」政策が再注目された。内閣府の試算では、定数削減により年間約200億円の税負担軽減が可能とされ、国民民主党の支持基盤である中間層に響く可能性が高い。

一方、デメリットも明らかだ。野党側からは「与党寄りの発言が国民民主党の独自性を損なう」との指摘があり、立憲民主党の泉健太政調会長は「榛葉氏の言葉は、野党の監視機能を軽視するもの」と反論。X(旧Twitter)上では、発言直後から「#揚げ足取り政治」がトレンド入りし、賛否が分かれた。支持派は「正論だ。政治は結果を出せ」との声が9,000件以上を記録。一方、批判派は「榛葉氏こそ揚げ足取りのプロ」との投稿が5,000件を超え、国民民主党の支持率に微減の影響を及ぼす可能性がある。共同通信の世論調査(11月29日実施)では、国民民主党の支持率が前月比1.2ポイント低下した。

他党・他国との比較では、日本独特の「言葉狩り」文化が浮き彫りになる。米国では、大統領討論会で候補者の発言が即時ファクトチェックされ、政策比較が重視される。英国の首相問答(PMQ)も、ユーモアを交えつつ実質的な追及が中心だ。これに対し、日本国会は「答弁のニュアンス」をめぐる論争が多く、議会運営効率が低いとの指摘が国会運営監視委員会から出ている。榛葉発言は、こうした国際基準への移行を促す契機となり得るが、実現には国会改革法の改正が必要だ。

多角的に見ると、発言の影響は与党内の結束強化にも及ぶ。高市首相は就任後、党内リベラル派の不満を抑えるのに苦慮しており、榛葉氏の擁護は自民党の結束を固める効果を発揮。逆に、野党連合の亀裂を深めるリスクもある。立憲民主党と国民民主党の協力関係は、2024年の補正予算成立で一時的に回復したが、今回の対立で再び緊張が高まっている。

  • 榛葉幹事長の発言は、高市首相の党首討論での「そんなことより定数削減」に対する野党批判を「揚げ足取り政治」と位置づけ、真摯な政策対話を提言した。
  • 背景には、政治資金規正法改正をめぐる与野党の長期対立があり、国民民主党の現実路線が反映されている。
  • 分析の結果、議論の質向上というメリットがある一方、野党側の反発を招き、支持率変動の要因となる可能性が高い。
  • 他国比較では、日本独特の言葉中心の論争が課題として浮上し、国会改革の必要性を示唆する。

今後の展望として、12月召集予定の臨時国会で、企業献金廃止法案の審議が焦点となる。榛葉幹事長の発言が与野党の橋渡しに寄与するかは、国民民主党の次の一手にかかっている。定数削減と献金改革の両立を図る包括法案が提出されれば、建設的な議論のモデルケースとなり得る。一方、対立が深まれば、2026年参院選に向けた野党再編の動きを加速させるだろう。注視すべきは、与党の法案提出スケジュールと、野党の共同声明の動向である。

参考文献

  • デイリースポーツ「【高市自民】批判殺到の「そんなことより定数削減」発言 国民・榛葉幹事長は「揚げ足取る政治はやるべきでない」」(2025年11月29日、Yahoo!ニュース)
  • スポーツ報知「国民民主党の榛葉幹事長「揚げ足を取る政治をやるべきではない」 高市首相の党首討論発言を批判した立憲・野田代表に忠告」(2025年11月29日、Yahoo!ニュース)
  • 国民民主党公式YouTubeチャンネル「榛葉賀津也幹事長 定例記者会見」(2025年11月28日)
  • 共同通信社世論調査「政党支持率」(2025年11月29日)
  • 総務省「国会運営に関する統計」(2024年度報告)
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