2013
03.27

失った乳房を再生する技術:鳥取大学医学部付属病院

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 乳がんで乳房を失った患者のために、人の脂肪に含まれる体性幹細胞を使って乳房を再建させると言う、厚生労働省が定めた「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」の承認を受けた体性幹細胞の乳房再建の臨床研究を全国で初めて実施。既に2012年の9月頃から、神奈川県や大阪府など5府県の30~60代の女性の5人に対して行っており、今後5年間にわたって、経過を見ていくそうだ。

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 乳房再生と言えば、昔からシリコーンなど人工物を使い再建する方法があった。しかし、人情的にも恒久的にも患者自身の脂肪を使った再生の方が安全性が高いでしょうね。

 今回の成果については、3月21日からの日本再生医療学会で「自己皮下脂肪組識由来幹細胞(ADRCs)による乳房再建法の臨床研究 中山 敏(鳥取大学 医学部附属病院 形成外科)」という、お題目で発表された。

 この発表の元となっているのは平成23年2月28日に鳥取大学医学部付属病院から申請されている「自己皮下脂肪組織由来細胞移植による乳癌手術後の 乳房再建法の検討」が元になっている。実施期間は、2013年3月31日までとなっている。内容としては、乳房温存術後の陥凹変形に対し、 自己皮下脂肪組織由来細胞移植による乳房再建術を行 い、治療の安全性、乳房形態への効果、生活の質への効 果を検討、評価する。 局所又は全身麻酔下に脂肪採取を行い、脂肪組織分離 装置を用いて ADRCs を得る。採取された細胞溶液と脂肪 組織を混合し、注入用機器を用いて移植する、となっている。

 簡単に言うと、腹部、大腿部から50〜300mlの皮下脂肪を吸引する。そこから機械を使って「濃縮した脂肪組織由来細胞」と呼ばれるものと「脂肪細胞」にわける。前のが脂肪を作る元、後ろが脂肪そのもの。脂肪そのものには必要のないものが混ざっているので機械で洗浄し、先の脂肪組織由来細胞と再び混合し、乳房の凹部分に注入し定着させるのである。

  1. 脂肪吸引を行います。吸引部位は腹部、大腿部、殿部のいずれかからで、50〜 300ml 吸引します。1〜2cmの皮 膚 切 開 を数 カ所 行 い、そこから専 用 のカニュー レを挿入し、脂肪を吸引します。吸引後、皮膚切開線を縫合します。
  2. 吸引した脂肪を器械に入れ、濃縮した脂肪組織由来細胞を抽出し、洗浄した脂肪 細胞を分離します。
  3. 濃縮した脂肪組織由来細胞と必要量の脂肪細胞を混合し、混合液を作ります。
  4. 混合液を乳房の陥凹部分に注入器で注入します。

手術の工程はわかりやすいが、定着させることが難しいようだ。そこについて、今までの自家組織である有茎あるいは遊離皮弁移植という方法では無く、自己皮下脂肪組織由来細胞移植なのだそうだ。この方法だと、今までの50%程度の定着率を、90%に引き上げることが出来るそうだ。

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