2024年6月1日、金沢市内で開催された第73回金沢百万石まつりは、能登半島地震からの復興を願う特別な意味合いを持つ祭りとなりました。加賀藩祖・前田利家公の金沢城入城を再現する「百万石行列」には、俳優の仲村トオルさんと夏菜さんが出演し、被災地への思いを込めて行進しました。
1. 百万石行列の概要
1.1 金沢百万石まつりとは?
金沢百万石まつりは、加賀藩祖・前田利家公が金沢城に入城した1583年を記念して開催される、石川県を代表する伝統行事です。華やかな衣装に身を包んだ行列が市内を練り歩く様子は、まさに一大スペクタクルと言えるでしょう。
1.2 2024年の特別な意義
2024年の百万石行列は、2024年1月1日に発生した能登半島地震からの復興を願う思いが込められた特別な意味合いを持っていました。被災地の一日も早い復興を祈り、勇気と希望のメッセージを発信する大切な機会となりました。
2. 俳優仲村トオルさんと夏菜さんの参加
2.1 前田利家公役の仲村トオルさん
主役の前田利家公役を務めたのは、俳優の仲村トオルさん。重量のある衣装に身を包み、堂々とした立ち振る舞いで利家公の風格を見事に体現しました。
重量が重いとは聞いていたんですが、責任の重さも感じます。守ろうとしていたものの大切さを実感、体感しました。
2.2 お松の方役の夏菜さん
利家公の妻・お松の方役は、夏菜さんが務めました。緊張感と気品に満ちた佇まいで、華やかな行列に彩りを添えていました。
帯をギュッと締めてもらいましたので、身が引き締まる思いです。
2.3 俳優たちの思いとメッセージ
仲村さんと夏菜さんは、被災地への思いを込めて演技に臨みました。
仲村さんは、「祭りは、神様に感謝したり、ご先祖様に感謝したりするという意味でも重要なものだと思います」と語り、先人への感謝の念を忘れずに行列に参加したと述べています。
一方の夏菜さんは、「怖い思いをした方、被災してまだ復興にも至っていない方たくさんいると思いますけど、少しでもパワーに、やる気だったり、明るい気持ちだったり、少しでもプラスの方向に力になれたらと頑張りたい」と力強く抱負を語っています。
3. 能登半島地震からの復興を願って
3.1 地震の影響と復興の現状
2024年1月1日未明、能登半島を震源とするマグニチュード7.3の地震が発生しました。この地震により、能登町を中心に家屋の全壊・半壊被害が多数発生するなど、甚大な被害がもたらされました。発災から5か月が経過した現在も、復興への道のりは遠く、多くの住民が仮設住宅での生活を余儀なくされています。
3.2 復興を象徴するキリコの展示
被災地の一日も早い復興を願い、百万石行列の会場では、能登町の伝統行事「キリコ祭り」の御神燈が特別展示されました。キリコは、神様が宿る神輿の先導役として、威勢の良い掛け声とともに町内を練り歩きます。揺らめく灯火は、希望の光となって被災地を照らしてくれるでしょう。
キリコ祭りの様子
3.3 被災地への応援メッセージ
会場では、被災地への温かい応援メッセージが寄せられていました。
頑張れ能登!一日も早い復興を願っています。
キリコの灯りが希望の光となりますように。
このような声援に力づけられ、被災者一人ひとりが前を向いて歩んでいけるはずです。
4. 百万石行列の見どころ
4.1 華やかな衣装と装飾
行列に参加した人々は、それぞれ豪華な衣装と装飾品で身を飾りました。利家公役の仲村さんが身に纏った衣装の重さは実に30kgにもなるそうです。一方、お松の方役の夏菜さんは、色鮮やかな打掛け姿で優雅な佇まいを見せていました。
4.2 行列のルートと主要スポット
百万石行列は、金沢城の長町武家屋敷跡を出発し、金沢21世紀美術館や金沢城公園などの主要スポットを通過。約2kmの行程を、ゆっくりと練り歩きました。沿道からは、多くの観光客や市民が手を振って歓迎する姿が見られました。
4.3 観客の反応と参加者の声
観客からは、「素晴らしい行列でした」「被災地の方々に勇気が与えられたと思います」といった感動の声が上がっていました。
一方で参加者からは、「祭りを通して先人に感謝の念を新たにしました」「一日も早い復興を願っています」といった思いの丈が語られていました。
5. 能登のキリコ祭り
5.1 キリコ祭りの歴史と文化
キリコ祭りは、能登半島に伝わる代表的な祭り文化です。主役は「キリコ」と呼ばれる御神燈で、氏子衆に担がれながら町内を練り歩きます。キリコの形状やサイズは地域によって様々で、その個性的な姿が見どころのひとつとなっています。
キリコ祭りの起源は古く、自然の恵みへの感謝と、生業の安全を祈る気持ちが込められています。また、町内や町同士の力比べの場でもあり、能登人の誇りとされています。
5.2 代表的なキリコ祭りの紹介
能登町内では、約70の地区でキリコ祭りが行われています。
- 宇出津のあばれ祭では、キリコや神輿が激しく暴れ回る様子が見られます。
- 柳田大祭は、高さ13mの大キリコが静かに巡回します。
- とも旗祭りは、5色の吹流しと大のぼりを掲げた船がパレードを行います。
- 松波人形キリコ祭りでは、キリコに飾られた人形の見栄えを競います。
5.3 キリコ祭りの魅力と体験談
キリコ祭りの魅力は、夜通し続く熱狂的な雰囲気にあります。威勢の良い掛け声や太鼓の音色、揺らめく灯火が幻想的な世界を創り出します。地元の人々は、この祭りに全身全霊を捧げるのです。
「たとえば携帯の電波が悪かったり、リモコンが効かなかったり、倒れている人がいたりすると、日本人は本能的にそれを揺さぶることで活力を呼び覚まそうとします。振るという行為は、私たち日本人の命を高めるものであり、神様にとってのご馳走もあるんです」(海瀬神社の宮司)
キリコ祭りを体験した人々は、「日本の原風景を見た思い」「非日常的で神秘的な体験ができた」と語っています。
6. まとめ
6.1 祭りの意義と地域への影響
金沢百万石まつりは、先人への感謝を新たにする場であり、被災地の復興を願う思いを込めた大切な祭りとなりました。華やかな行列は、観客に勇気と希望を与え、参加者一人ひとりの心に火を灯しました。
6.2 今後の展望と期待
今回の百万石行列を契機に、キリコ祭りをはじめとする能登の伝統文化が、より多くの人々に知られるようになることが期待されます。そして、この祭りが能登の復興の象徴となり、一日も早い復旧・復興が実現されることを願っています。